喫煙について

百害あって一利無しなどと言われ、最近では肺がんの原因だ心筋梗塞の発症率を上げるだなど目の敵にされているのが喫煙です。本当に百害あって一利無しなら何千年も嗜好品として吸われ続けているかどうか?疑問な所ではありますが、こと歯科に関しては害だらけです。きょうも最後の1本を抜歯して総義歯になってしまった患者さんが来院されましたが、当然の如く元はヘビースモーカーだったそうです。歯や歯肉のために禁煙しましょうと歯医者さんに言われた人もいるでしょう。でも、なぜ歯や歯肉に悪いか説明を受けたでしょうか?

 

まずタバコの煙の微粒子が歯に付着して歯を不潔にします。第二に口を乾燥させます。虫歯や歯周病は唾液の自浄作用や再石灰化によって防がれているのですが唾液の量を減らしてしまうので虫歯や歯周病が進行しやすくなってしまいます。第三にニコチンは興奮剤なので末梢血管を収縮させます、そのため歯肉が貧血になり血漿成分による抗菌作用が失われます。歯周病を感染させる菌に抵抗しなくなるので当然歯周病は進行してしまいます。もうひとつ良く無いことは歯肉が貧血になると血がでにくくなります。昔歯磨き粉の宣伝で「リンゴをかじると歯から血が出ませんか?血が出るのは歯周病のサインです」などというのがありましたが血が出るのは寧ろ健全で体がばい菌と闘っている証拠なのです。喫煙者はばい菌と闘う為の血が薄いのです。これをマスキング効果と呼びます。本来は血が出なければいけない程歯周病が進行していても血が出ないから歯周病の自覚がなく気が付いた時にはもう歯がグラグラで抜くしかなくなっていることが多いのです。

 

ほら、そこの喫煙者のあなた!身に覚えがありますよね、気付いたら歯はグラグラだったって。タバコは吸っているけど何も問題はないと高をくくっている若いあなた!あなたの自覚がないのはマスキングされているからかも知れませんよご注意下さい。

 

禁煙は無理だと情けないことを言っているあなた、難しければ本数を減らしましょう。1日5本以内なら吸わないのと同じだという説もありますから。頑張って減らしましょう。禁煙したぞと威張っている貴兄、禁煙しても5年続かないと肺は綺麗に戻らないそうです。5年以上続けて下さい。